10月に入り、朝晩がひんやりしてくると、そろそろ衣替えを始めるご家庭も多いのではないでしょうか。夏服をしまって、厚手のニットを出して……。押し入れやクローゼットの奥まで手を入れる、年に数回の機会でもあります。
そんなとき、奥から出てきた紙袋や箱の中に、春ごろにしまった子どもの絵や工作が入っていた、ということはありませんか。久しぶりに開けてみたら、画用紙が反っていたり、クレヨンの色がなんとなく薄くなっていたり、ほかの作品とくっついていたり。「ちゃんと取っておいたつもりだったのに」と、少しさみしい気持ちになることもあるかもしれません。
今回は、衣替えのタイミングに合わせて見直したい、子どもの作品の保管のコツをご紹介します。特別な道具をそろえなくても、置き場所やしまい方を少し工夫するだけで、作品の状態はずいぶん変わってきます。
作品が傷みやすいのは、どんなとき?
子どもの作品の多くは、画用紙や折り紙、段ボール、クレヨン、水彩絵の具など、もともと長期保存を前提にしていない素材でできています。だからこそ、置かれる環境の影響を受けやすいものです。家庭で気をつけたいのは、主に次の3つです。
・光:窓辺や日の当たる壁に長く飾っていると、紙が黄ばんだり、色が薄くなったりすることがあります。直射日光だけでなく、明るい部屋に長く出しっぱなしにしている場合も、少しずつ変化していきます
・湿気:押し入れや床に近い場所は、湿気がこもりやすいことがあります。紙が波打ったり、作品同士が貼りついたり、においがついたりする原因になりがちです
・重さと折れ:たくさんの作品を袋に詰めこんだり、上に重いものを置いたりすると、角が折れたり、絵の具やのりの部分がはがれたりしやすくなります
どれも「気づいたときには少しずつ進んでいた」というものばかりです。だからこそ、年に何度かある衣替えのように、定期的に作品の様子を見る機会をつくっておくと安心です。
置き場所としまい方、今日からできる工夫
保管の基本は、「暗くて、風通しがよく、平らに置ける場所」を選ぶことです。完璧を目指す必要はありませんが、次のような工夫を取り入れてみてはいかがでしょうか。
・床から少し離して置く:押し入れなら下段より上段、クローゼットなら床置きより棚の上のほうが、湿気の影響を受けにくいことがあります。すのこを1枚敷くだけでも、空気の通り道ができます
・平らに重ねて、ゆとりを持たせる:絵は丸めたり折ったりせず、平らな状態で重ねるのがおすすめです。ぎゅうぎゅうに詰めず、少し余裕のある箱やファイルを選ぶと、出し入れのときにも傷めにくくなります
・作品の間に紙を1枚はさむ:クレヨンやパステル、絵の具がたっぷり塗られた作品は、重ねると色が移ってしまうことがあります。コピー用紙や薄い紙を1枚はさむだけで、くっつきや色移りを防ぎやすくなります
・密閉しすぎない:ビニール袋に入れて口を縛ると、湿気がこもってしまう場合があります。紙製の箱やファイルに入れ、ときどきふたを開けて空気を入れ替えるくらいがちょうどよいかもしれません
・市販の除湿剤や防虫剤は、作品に直接触れないように:使う場合は、作品とは少し離して置くのが安心です。衣類用のものを流用するときは、商品の注意書きも確認してみてください
工作のように立体的な作品は、平らな作品と分けて、ひとつずつ箱に入れておくと形が崩れにくくなります。
衣替えは「作品の見直しデー」にちょうどいい
作品の保管でいちばん難しいのは、「しまったまま忘れてしまうこと」かもしれません。そこでおすすめなのが、衣替えのタイミングを、作品を見直す日と決めてしまう方法です。
・箱を開けて、状態をさっと確認する:反りや湿気、虫食いなどがないか、ざっと目を通すだけで十分です。気になる作品があれば、置き場所を変えたり、写真に撮っておいたりしましょう
・子どもと一緒に「どれを残す?」を話す:半年ほど前の作品を一緒に見返すと、「これ描いたの覚えてる!」と会話がはずむことがあります。子どもが「これは大事」と選んだ作品を中心に残すと、量も自然と落ち着いていきます
・日付と名前を書き添える:作品の裏に、描いた時期や子どもの名前、ひとことコメントを鉛筆で書いておくと、数年後に見返したときの手がかりになります
衣替えのたびに少しずつ見直していけば、「気づいたら箱があふれていた」ということも防ぎやすくなります。全部を一度に片付けようとせず、「今日はこの箱だけ」と小さく区切るのが続けるコツです。
現物と一緒に、写真でも残しておく
どんなに気をつけていても、紙の作品は少しずつ変化していくものです。それに、すべての作品を現物で取っておくのは、収納の面でもなかなか大変です。そこで、現物の保管とあわせて、写真で残しておく方法も取り入れてみてはいかがでしょうか。
描いたばかりの色がいちばんきれいなうちに撮っておけば、のちに現物が色あせてしまっても、そのときの鮮やかさを見返すことができます。明るい窓辺の自然光で、作品を平らに置いて真上から撮ると、色が見たままに近く残りやすくなります。
わたしたちが作っている「コノミュー」は、子どもの作品を写真で残して、あとから家族で見返せるアプリです。撮った作品をキャラクターにしたり、絵本のようにまとめたりすることもできます。衣替えで見つけた作品を撮っておく場所のひとつとして、気軽に使っていただけたらうれしいです。
完璧じゃなくても、残そうとした気持ちが大切
保管のコツをお伝えしてきましたが、すべてを理想どおりに守るのは、忙しい毎日の中では難しいものです。少し色あせてしまった絵や、角が折れてしまった工作があっても、それは「その時期をいっしょに過ごしてきた証」とも言えます。
大切なのは、子どもの作品を「取っておきたい」と思う気持ちそのものです。衣替えのついでに箱をひとつ開けて、ほんの少し置き場所を見直すだけでも、未来の家族への小さな贈りものになります。
今年の衣替えでは、洋服と一緒に、子どもの作品にもそっと声をかけてあげてくださいね。
