秋は運動会の季節ですね。かけっこ、玉入れ、ダンスに親子競技。当日は朝からお弁当を作って、場所取りをして、カメラを構えて……と、親にとってもなかなか忙しい一日です。
そして運動会が終わってしばらくすると、園や学校から「運動会の絵」が持ち帰られてくることがあります。家で「今日のこと描いて」と言わなくても、子どもが自分から描き始めることもあるかもしれません。今回は、そんな運動会のあとの絵の楽しみ方と、思い出としての残し方についてのお話です。
写真には写らない「その子から見た運動会」
運動会の日、スマホやカメラにはたくさんの写真や動画が残ります。けれど、それはあくまで観客席から見た運動会。子ども自身が何を見て、何を感じていたのかは、写真だけではなかなか分かりません。
子どもが描く運動会の絵には、ときどき思いがけないものが登場します。走っている自分よりも大きく描かれた応援の旗。ゴールテープの横で手をふるママ。お弁当のからあげ。空にぽつんと浮かぶ雲。大人から見ると「そこ?」と思うようなところが、その子にとっては一日のいちばんの思い出だったりします。
人の大きさや色づかいも、見ていると楽しいポイントです。自分を画用紙いっぱいに描く子もいれば、友だちとずらりと並んで描く子もいます。どれが正しいということはなく、その日の気持ちがそのまま表れているのが、運動会の絵の面白さです。
絵を見せてくれたときの声のかけ方
持ち帰った絵を見ると、つい「上手だね」とひと言で終わらせてしまいがちです。もちろんそれも嬉しい言葉ですが、少しだけ質問を足してみると、絵の向こうにある話が広がります。
・「これは誰?」「何をしているところ?」と、描かれているものを聞いてみる
・「この色、きれいだね」と、気づいたところを具体的に伝える
・「いちばん楽しかったのはどこ?」と、気持ちを聞いてみる
・「ママはここで見てたよ」と、親から見た当日の話もしてみる
かけっこで思うような結果が出なかった子は、運動会の話題に少し複雑な気持ちを抱えていることもあります。そんなときは、無理に競技の話をしなくても大丈夫です。絵の中に描かれた空の色やお弁当の話から入るなど、子どもが話したいところから聞いてみると、自然と気持ちを話してくれることもあります。
聞いた答えは、ぜひメモしておいてください。「これはリレーのバトン」「先生がピストルを鳴らしてるところ」といった説明は、数年たつと親も子も忘れてしまいがちです。絵の裏に鉛筆で小さく書いておくだけでも、見返したときの楽しさが変わります。
写真と絵を「セット」で残してみる
運動会の思い出を残すなら、当日の写真と子どもの絵を並べて残すのがおすすめです。同じ場面を、親のカメラと子どもの目、ふたつの視点から見比べられるのは、運動会ならではの楽しみ方です。
たとえば、かけっこの写真の横に、子どもが描いたかけっこの絵を並べてみる。写真では真剣な顔で走っているのに、絵の中の自分はにっこり笑っている、なんて発見があるかもしれません。
絵を写真に撮るときは、明るい窓際で、画用紙の真上から撮ると色がきれいに残ります。影が入らないように、少し離れて撮ってから端を切り取るのもひとつの方法です。撮ったら、運動会の写真と同じ日付のフォルダにまとめておくと、あとで探しやすくなります。
毎年の運動会の絵を並べてみると
運動会は毎年同じ季節にやってくる行事なので、絵を残し続けると、成長の変化が見えやすいのも魅力です。最初の年は丸と線だけだった「走る自分」に、いつのまにか手足がつき、背景に観客席や旗が描かれるようになる。友だちの名前が絵の中に増えていく。並べてみると、その年ごとの成長と、子どもの世界の広がりが伝わってきます。
わたしたちが作っている「コノミュー」は、子どもの作品を写真に撮って、スマホの中に小さな美術館のように残していけるアプリです。運動会の絵を毎年同じ場所に残しておけば、「去年はこんなふうに描いてたね」と親子で振り返るきっかけにもなります。
もちろん、アルバムやスマホのフォルダに「運動会」とまとめるだけでも、十分に始められます。大切なのは、上手に描けたかどうかではなく、その日の子どもの気持ちが、絵と一緒に残っていることです。
がんばった一日のあとに描かれた一枚は、写真とはまた違う、その子だけの思い出の記録です。今年の運動会の絵も、どうかゆっくり眺めて、たくさん話を聞いてあげてくださいね。
