「おねえちゃんの絵は箱3つ分あるのに、下の子のはまだ1箱だけ」。ふと気づいて、少しどきっとしたことはありませんか。上の子のときは何もかもが初めてで、折り紙のかけらまで取っておいたのに、二人目、三人目になると日々が忙しくて、気づけば残せているものに差がついている——きょうだいのいる家庭なら、多くの方が心当たりのある光景だと思います。
「差がつく」のは、愛情の差ではありません
まずお伝えしたいのは、残っている作品の量と、注いできた愛情の量はまったく別ものだということです。二人目のときに写真や作品が少なくなるのは、単純に手が足りないから。上の子のお世話をしながら赤ちゃんを育てる毎日で、作品をゆっくり整理する時間がないのは当たり前のことです。
それでも、子どもが大きくなってアルバムや作品の箱を見返したとき、「わたしのだけ少ない」と感じさせてしまったら…という心配は、親として自然な気持ちです。だからこそ、量をそろえることよりも、「それぞれの子の記録が、それぞれちゃんとある」状態を目指すのがおすすめです。
コツ1:子どもごとに「作品の置き場所」を分ける
作品がごちゃ混ぜになっていると、あとから「これはどっちが描いたんだっけ?」が必ず起こります。名前のない絵は、時間が経つほど持ち主がわからなくなるもの。持ち帰ったその日に、子どもごとの箱やファイルに分けておくだけで、この問題はほとんど防げます。
箱は立派なものでなくて大丈夫。「はるちゃんの箱」「そうくんの箱」と名前を書いた段ボールがひとつずつあれば十分です。ポイントは、分ける作業を「あとでまとめて」ではなく「その日のうちに10秒で」やること。仕分けのハードルを極限まで下げるのが続けるコツです。
コツ2:「同じルール」で残すと、公平さは自然に生まれる
上の子と下の子で残す量に差が出てしまう一番の原因は、ルールが決まっていないことです。「なんとなく良さそうなものを取っておく」方式だと、親の余裕がある時期の子ほど多く残ります。
そこでおすすめなのが、家族の中で小さなルールを決めてしまうこと。たとえば「学期ごとにお気に入りを3つ選ぶ」「誕生日に1年分を一緒に見返して、残すものを決める」など。同じルールをきょうだい全員に適用すれば、量の公平さは自然に保たれますし、「選ぶ」プロセス自体が子どもとの楽しい時間になります。
コツ3:選ぶのは親ではなく、その子自身
どの作品を残すか迷ったら、本人に選んでもらうのがいちばんです。親が「上手に描けているから」と選ぶ絵と、子どもが「これが好き」と選ぶ絵は、意外なほど違います。大人から見ると殴り書きにしか見えない1枚が、その子にとっては「恐竜と戦ってるところ」だったりする。
きょうだいそれぞれが自分で選ぶと、残る作品には自然とその子らしさが表れます。おっとりした長女の作品箱と、乗り物一筋の長男の作品箱は、量が同じでなくても、それぞれがその子だけの宝箱になります。公平さとは量をそろえることではなく、一人ひとりの「好き」を同じように大切にすることなのかもしれません。
コツ4:デジタルで「その子だけのギャラリー」を作る
現物をぜんぶ残すのは、きょうだいの人数が増えるほど物理的に難しくなります。そこで頼りになるのがデジタルでの記録です。写真に撮ってしまえば場所を取らないので、「現物は厳選、記録は全部」という残し方ができます。
このとき大切なのが、やはり子どもごとに分けて残すこと。スマホのカメラロールに混ざったままだと、数年後に「この絵はどっちの?」となってしまいます。子どもごとにアルバムやフォルダを分けて、「その子だけの展示室」を作ってあげると、見返すときの体験がまったく変わります。
私たちが作っている「コノミュー」は、まさにこの考え方から生まれたアプリです。子どもごとにミュージアムを作って、作品を撮って飾っていくと、それぞれの子の「小さな美術館」が育っていきます。きょうだいで比べるのではなく、一人ひとりの世界がそれぞれに広がっていく感覚を、家族で楽しんでもらえたらうれしいです。
「その子だけの記録」は、いつか本人への贈りものになる
きょうだいがいると、どうしても「みんなで一緒」の写真や思い出が多くなります。だからこそ、作品というのは貴重です。絵や工作は、その子が一人で生み出した、その子だけのもの。誰かと共有ではない「自分だけの記録」が残っていることは、大きくなった本人にとって、静かにうれしいことなのではないかと思います。
完璧に公平である必要はありません。量に多少の差があっても、「あなたの作品を、あなたのものとして大切にしてきたよ」ということが伝われば、それで十分。今日持ち帰ってきた1枚を、その子の箱にそっと入れるところから始めてみませんか。
