持ち帰ってきた絵を見て、「これは…何を描いたのかな?」と思ったことはありませんか。ぐるぐるの線、紙いっぱいの点々、顔から直接手足が生えた不思議な人。大人の目には「まだ上手に描けない絵」に見えるかもしれません。でも実は、子どもの絵にはどの子にも共通する発達の順番があって、その一枚一枚が「いま、この段階まで育った」というサインになっています。順番を知ると、今日の落書きがぐっと味わい深く見えてきます。
子どもの絵には「順番」がある
個人差はありますが、子どもの絵はおおよそ次のような道すじをたどると言われています。1〜2歳ごろは「なぐりがき期」。腕を動かすこと自体が楽しくて、点々やぐるぐるの線が生まれます。まだ「何かを描こう」としているわけではなく、体の発達そのものが紙にあらわれている時期です。
2〜3歳ごろになると、描いたあとで「これはアンパンマン」「これはママ」と意味づけをするようになります。丸が閉じて描けるようになるのもこのころ。そして3〜4歳ごろ、多くの親を笑顔にする「頭足人(とうそくじん)」が登場します。大きな丸い顔から、にょきっと直接手足が生えた人の絵。世界中の子どもが、教わらなくても同じように描く不思議な絵です。
4〜5歳を過ぎると胴体が生まれ、地面をあらわす一本の線(基底線)の上にお家や家族が並びはじめます。お腹の中の赤ちゃんまで透けて描く「レントゲン画」のような表現も、この時期ならではのもの。どの段階の絵も、二度と戻ってこない「いまだけ」の描き方なのです。
段階を知ると、声かけが変わる
発達の順番を知っていると、「もっと上手に描けるといいね」ではなく「いま、ここまで来たんだね」という目で絵を見られるようになります。なぐりがきの時期に形を求めなくていいし、頭足人に「体はどこ?」と教える必要もありません。それぞれの段階を、その子のペースで通り過ぎていくのを見守ればいい——そう思えるだけで、絵を受け取るときの気持ちがずいぶん軽くなります。
声をかけるなら、「じょうずだね」よりも「このぐるぐる、いっぱい描いたね」「この人、笑ってるね」と、見えたままを言葉にするのがおすすめです。評価ではなく「ちゃんと見ているよ」が伝わると、子どもはまた描きたくなります。
並べて見ると、成長は一目でわかる
発達段階のおもしろさが本当にわかるのは、時間をおいて絵を並べて見たときです。去年のぐるぐるが、今年は顔になっている。頭足人だったパパに、いつのまにか胴体と服が描かれている。一枚ずつ見ていたときには気づけなかった変化が、時系列で並べるとはっきり見えてきます。
だからこそ、絵を残すときは「日付」がとても大切です。作品の隅に小さく日付を書いておく、写真に撮って撮影日を記録しておく——それだけで、ただの落書きの山が「成長の記録」に変わります。あわせて、描いたときに子どもが言っていたこと(「これはね、うちゅうのでんしゃ!」)をひとこと添えておくと、後から見返したときの宝物になります。
わが家では、こうした「時系列で見返す」楽しみのために、作品を写真で残してアプリに並べています。コノミュー(konomew)は、子どもの作品を小さな美術館のように時系列で飾って残せるアプリです。なぐりがきの一枚も、はじめての頭足人も、館内に並べておけば、いつでも成長の道すじを歩き直すことができます。よければのぞいてみてください。
「へたな絵」はひとつもない
子どもの絵に、うまい・へたの物差しは要りません。あるのは「いまの段階」だけ。今日持ち帰ってきたぐるぐるの線も、顔から足が生えた家族の絵も、その子がいままさに通っている道の足あとです。次の段階に進んだら、もうその描き方には戻れません。だからどうか、今日の一枚を「いまだけの絵」として、楽しんで受け取ってあげてください。
