子どもが描いた絵をのぞきこんで、思わず「あれ?」と首をかしげたことはありませんか。太陽が紫色だったり、ママの顔が緑色だったり、空が一面まっ赤だったり。大人が思い浮かべる「ふつうの色」とは違う色づかいに、どう声をかけたらいいのか迷ってしまうこともありますよね。
「本当は何色だっけ?」と教えたほうがいいのかな、それとも何か意味があるのかな……と、気になり始めるときりがありません。でも、少し見方を変えてみると、その不思議な色の中に、その子ならではの世界や、そのときの楽しさがつまっていることに気づくかもしれません。
今回は、子どもの絵の「思いがけない色づかい」を親子で楽しむ見方と声かけのヒント、そして色にまつわるエピソードごと作品を残すアイデアをご紹介します。
「正しい色」より、「選んだ色」に目を向けてみる
子どもの絵の色は、必ずしも「見たままの色」を写そうとして選ばれているわけではありません。たまたま手元にあったクレヨン、最近お気に入りの色、なんとなく楽しい気分になる色。理由はその時々でさまざまです。
また、「色の意味を読み解く」ような話を見かけることもありますが、一枚の絵の色だけでその子の気持ちを判断するのはむずかしいものです。紫の太陽を見ても、心配しすぎる必要はありません。むしろ「この子は今、紫が好きなんだな」と受け止めるくらいの気持ちで眺めてみると、絵を見る時間がぐっと気楽になります。
大人はつい「りんごは赤、葉っぱは緑」と、決まった色に当てはめて考えがちです。けれど子どもにとって色は、もっと自由に遊べる道具のひとつ。「どうしてこの色にしたんだろう」と、少しだけ好奇心をもって見てみるところから始めてみましょう。
不思議な色を一緒に楽しむ、声かけのヒント
思いがけない色に出会ったら、正解を教えるよりも、子どもの話を引き出すような声かけがおすすめです。たとえば、こんな言葉があります。
・「きれいな紫だね。この色、好きなの?」
・「この太陽、どんな太陽なのかな?」
・「緑のお顔、なんだかおもしろいね。何をしているところ?」
・「この色を使ったら、どんな気持ちになった?」
聞いてみると、「夕方の太陽だから」「魔法の国の太陽なの」「ママがおばけに変身したところ」など、大人には思いつかない答えが返ってくることがあります。もちろん「わかんない」「なんとなく」という答えでも大丈夫。理由がなくても、その色を選んで楽しく描けたこと自体がすてきなことです。
反対に、「太陽は赤でしょ」「顔は肌色で描こうね」と直されると、子どもによっては描くこと自体を少し窮屈に感じてしまうこともあります。もし本当の色に興味を持っているようなら、「本物の夕焼けは何色に見えるか、今度一緒に見てみようか」と、外の景色を一緒に観察するきっかけにしてみるのもいいですね。
秋は「色さがし」にぴったりの季節
11月は、街路樹や公園の木々が赤や黄色、茶色に色づき、ふだんより色のバリエーションが豊かになる季節です。お散歩のついでに、親子で「色さがし」をしてみるのも楽しい遊びのひとつです。
・落ち葉を拾って色を比べる:同じ木の葉っぱでも、黄色からオレンジ、赤までいろいろな色があることに気づけます
・「この色、クレヨンだと何色かな?」とたずねる:家に帰ってから、見つけた色に近いクレヨンや色鉛筆を探してみると、色への関心が自然と広がります
・空の色を時間ごとに見る:夕暮れどきの空は、オレンジや紫、ピンクが混ざることも。「紫の太陽」が、実はちゃんと見た景色から生まれていたと気づく場面もあるかもしれません
色さがしのあとに絵を描くと、子どもがどんな色を選ぶのか、また違った楽しみが生まれます。見た色をそのまま使う子もいれば、さらに自由な色で描く子もいます。どちらもその子らしさとして、おおらかに見守ってあげてください。
色のエピソードごと、作品を残しておこう
不思議な色づかいの絵は、時間がたつほど「どうしてこの色だったんだろう」がわからなくなってしまうものです。せっかく子どもが話してくれた理由や物語は、作品と一緒に残しておくのがおすすめです。
たとえば、絵の裏に日付と「紫の太陽=魔法の国の太陽」などと短くメモしておくだけでも、数年後に見返したときの楽しさが大きく変わります。色にまつわる絵だけを集めて、「◯歳の色の記録」として1冊のファイルにまとめてみるのもいいアイデアです。好きな色が年齢とともに変わっていく様子が見えて、家族で話がはずむかもしれません。
わたしたちが作っている「コノミュー」は、子どもの作品を写真で残して、日付や子どもの言葉を添えておけるアプリです。紙の絵は色あせてしまうこともありますが、写真で残しておけば、描いたときの鮮やかな色をそのまま見返せます。色のエピソードを残す場所のひとつとして、気軽に使っていただけたらうれしいです。
その色は、その子にしか描けない色
紫の太陽も、緑の顔も、まっ赤な空も、大人になるとなかなか描けなくなる、子ども時代ならではの色かもしれません。「どうしてこの色?」と戸惑ったときこそ、その子の見ている世界を少しのぞかせてもらうチャンスです。
完璧な声かけでなくても大丈夫。「おもしろい色だね」と一緒に笑い合えるだけで、子どもにとっては描く楽しさが広がる時間になるはずです。今日の絵は、どんな色で描かれているでしょうか。ぜひ、その色の物語を聞いてみてくださいね。