どんぐり拾いに行った公園、家族で出かけた動物園、園の遠足。秋はおでかけが楽しい季節ですね。帰り道に「楽しかったね」と話していても、数日たつと、子どもが何に一番よろこんでいたのか、親のほうが思い出せなくなっていることはありませんか。写真はたくさん撮ったはずなのに、写っているのは「その場の様子」だけで、子どもの心に何が残ったのかまではわからないものです。
そんな「子どもにとっての思い出」を残せるのが、絵日記です。絵日記というと、小学校の夏休みの宿題を思い浮かべる方も多いかもしれません。でも、字がまだ書けない年齢の子でも、絵を描いて、言葉をおうちの人が書き取れば、立派な絵日記になります。今回は、秋のおでかけをきっかけに「はじめての絵日記」を親子で楽しむためのコツをご紹介します。
絵日記は「子どもの目線」の記録になる
同じ動物園に行っても、大人が覚えているのは「キリンが大きかった」「混んでいた」といったことでも、子どもが描くのは、帰りに乗った電車だったり、ベンチの下にいたハトだったりします。大人が予想もしなかった場面を描くこともよくあります。
その「意外な一枚」こそが、絵日記のいちばんの魅力です。写真には写らない、子どもが心を動かされた瞬間が、絵の中に残ります。上手に描けているかどうかは気にしなくて大丈夫です。丸がひとつ描いてあるだけでも、「これはね、おいもだよ」と教えてもらえれば、それはその日の大切な記録になります。
字が書けなくても大丈夫。「聞き書き」で始めよう
はじめての絵日記は、子どもが絵を描き、おうちの人が言葉を書き取る「聞き書き」スタイルがおすすめです。進め方の一例はこんな感じです。
・おでかけした日の夜や翌日に、「今日のこと、絵にしてみる?」と軽く誘う
・画用紙の上半分に絵、下半分に文章を書くスペースをあけておく
・描き終わったら「これは何をしているところ?」「どんな気持ちだった?」と聞いてみる
・子どもが話したことを、できるだけそのままの言葉で下の欄に書く
ポイントは、子どもの言葉を大人の言葉に直さないことです。「どんぐり、いっぱいで、ポケットがぼこぼこになった」という言い方は、その年齢だからこそ出てくる表現です。少し文法がおかしくても、言い間違いがあっても、それも含めて「今」の記録として残しておくと、あとで読み返したときにとても愛おしく感じられます。
ひらがなに興味が出てきた子なら、名前や「たのしかった」の一言だけ自分で書いてもらうのもいいですね。鏡文字になったり、字が大きくなりすぎたりしても、その時期ならではの味わいです。書きたがらないときは無理をせず、また次の機会に誘ってみてください。
続けるための、小さな工夫
絵日記は「毎日書かなくてはいけない」と思うと、親子ともに負担になってしまいます。はじめは、おでかけや行事など「特別な日だけ」と決めておくと気軽に続けられます。月に一、二枚でも、一年たてば季節ごとの思い出がしっかり並びます。
用意するものも、特別なものでなくて大丈夫です。画用紙や自由帳でも十分ですし、文具店などで売られている幼児向けの絵日記帳を使えば、絵と文の枠がはじめから分かれているので取りかかりやすくなります。クレヨンや色鉛筆など、子どもが使い慣れた画材を選ぶとよいでしょう。
また、描く気分になれない日もあります。そんなときは、拾ってきた落ち葉やどんぐり、入場券などを貼るだけの「貼る日記」にしてしまうのもひとつの方法です。子どもと一緒に「これはどこで拾ったっけ」と話しながら貼るだけでも、思い出をふり返るよい時間になります。
描いた絵日記を、あとから見返したくなる残し方
絵日記にはぜひ、日付と子どもの年齢を書き添えておきましょう。「4歳7か月」と書いてあるだけで、何年かたって見返したときに、その頃の様子がぐっと思い浮かびやすくなります。
描きためた絵日記は、ファイルにとじて「わが家の絵日記帳」にしておくと、季節ごとにめくって楽しめます。年末や誕生日など、節目の日に家族で見返すのもおすすめです。「この日、ポケットがぼこぼこだったんだよ」と子ども自身が覚えていなくても、絵日記を見れば話がふくらみます。遠くに住む祖父母に写真で送れば、おでかけの様子を子どもの言葉で伝えることもできます。
紙の作品は、増えてくると保管場所に悩むこともあります。そんなときは、写真に撮ってデータで残しておくのもひとつの方法です。わたしたちが作っている「コノミュー」も、子どもの絵や作品を写真で残して、日付や年齢ごとに見返せるアプリです。絵日記も一枚ずつ記録しておけば、成長のアルバムのように楽しめます。もちろん、手作りのファイルでも十分すてきな記録になります。
きれいに書けなくても、それがいちばんの宝物
絵日記は、上手に描くことも、毎日続けることも目的ではありません。子どもが「楽しかった」と感じたことを、子どもの絵と言葉で残しておく。それだけで、大人になってから読み返したときに、自分がどんなふうに世界を見ていたのかを知ることのできる、かけがえのない手紙のようなものになります。
忙しい毎日の中で、おでかけのあとに時間をつくるのは、ちょっと大変なこともありますよね。それでも、たまに一枚描くだけで十分です。紅葉の色や、どんぐりのつや、帰り道の夕焼け。この秋の思い出を、親子で一枚の絵日記に残してみませんか。
