朝晩がすっかり涼しくなり、「芸術の秋」という言葉を目にすることが増えてきました。園や学校でも作品展や作品づくりが続くこの季節、気づけば家の中に子どもの絵や工作がどんどん増えている……という方も多いのではないでしょうか。引き出しにしまったまま、なかなか見返す機会がない作品もあるかもしれません。
そんな作品たちを、この秋は「おうち作品展」として飾ってみるのはいかがでしょう。特別な道具も広いスペースもいりません。いつもの壁やたなの一角を、家族だけの小さな展覧会場に変えるだけです。今回は、親子で無理なく楽しめるおうち作品展の開き方と、終わったあとの残し方をご紹介します。
「おうち作品展」ってどんなもの?
おうち作品展は、子どもがこれまでに描いた絵や作った工作を、期間を決めて家の中に並べ、家族で鑑賞するちょっとしたイベントです。ふだんの「飾る」と少し違うのは、「作品展」という名前をつけて、子ども自身が主役になれるところ。会期を決めたり、招待状を作ったり、作品にタイトルをつけたりと、準備そのものが親子の遊びになります。
完成度の高い作品を集める必要はまったくありません。なぐりがきの一枚も、途中でやめた工作も、本人が「これ出したい」と言えば立派な展示作品です。大切なのは、作品を通して「この一年、こんなものを作ってきたね」と家族で振り返る時間をつくること。秋の夜長や週末のひとときに、ぴったりの過ごし方です。
準備は「選ぶ」ところから親子で
まずは、しまってある作品を出してきて、子どもと一緒に展示する作品を選んでみましょう。全部を並べようとすると大変なので、「今回は10点まで」のように数を決めておくと選びやすくなります。
・「どれがいちばんお気に入り?」「これはいつ描いたんだっけ?」と話しながら選ぶ
・選ぶ基準は上手・下手ではなく、本人の「好き」や「思い出」を大切にする
・きょうだいがいる場合は、それぞれの「コーナー」を作ると公平感が出やすい
・季節の作品(どんぐりや落ち葉の工作など)を入れると、秋らしい展示になる
選ぶ過程で、思いがけない話が聞けることもあります。「これはね、パパが寝てるところ」「この色は雨の日の色」など、大人が想像もしなかった説明が返ってきたら、ぜひメモしておいてください。その言葉が、あとで作品のキャプション(説明書き)になります。
飾り方のアイデアと、気分を盛り上げる小さな工夫
展示スペースは、リビングの壁の一角、廊下、玄関、テレビ台の上など、家族の目に入りやすい場所がおすすめです。壁に貼る場合は、壁紙を傷めにくいマスキングテープや、ひもとクリップを使った「つるす展示」が手軽です。工作など立体の作品は、たなや箱の上に並べると見やすくなります。
さらに雰囲気を出すなら、こんな工夫も楽しいです。
・作品の横に小さなカードを置き、「タイトル」「作者名」「何歳のときの作品か」を書く
・子どもに「館長さん」になってもらい、手書きの招待状やチケットを作る
・入り口に「〇〇てん」と書いた看板を貼る
・家族が感想を書ける「ひとことノート」を用意しておく
タイトルは子どもにつけてもらうと、思わずくすっと笑ってしまうような名作がたくさん生まれます。字が書けない年齢なら、子どもが言った言葉を大人が代わりに書けば大丈夫です。
祖父母や離れた家族も「来場者」に
おうち作品展は、祖父母を招くきっかけにもなります。近くに住んでいるなら「作品展のお知らせ」として手書きの招待状を渡してみるのも素敵ですし、遠方なら、展示のようすを写真に撮って送ったり、ビデオ通話で子どもに案内してもらったりするのもひとつの方法です。
子どもが「これはね」と自分の作品を説明し、それを聞いてもらう体験は、作品を作るのと同じくらい楽しい時間になりやすいものです。感想をもらうときは、「上手だね」だけでなく、「この色きれいだね」「ここはどうやって作ったの?」と具体的に声をかけてもらえると、会話がふくらみます。事前に祖父母にそっと伝えておくのもいいかもしれません。
作品展のあとは、写真で「図録」を残そう
会期が終わったら、作品は片づけることになります。そのときにおすすめなのが、展示のようすと作品一点一点を写真に撮って、「図録」のように残しておくことです。展示風景の写真には、その年の家の空気や、子どもの背丈まで一緒に写り込みます。数年後に見返すと、作品と同じくらい懐かしく感じられるはずです。
キャプションに書いた言葉や、家族の感想ノートも一緒に撮っておくと、作品にまつわる物語ごと残せます。そのうえで、実物を手元に残す作品と、写真だけ残してお別れする作品を、子どもと相談しながら決めていけば、片づけも前向きな時間になります。
わたしたちが作っている「コノミュー」は、子どもの絵や工作を写真で残し、スマホの中に小さな美術館のようにまとめていけるアプリです。おうち作品展の「図録」づくりに使えば、毎年の作品展が少しずつ積み重なっていきます。もちろん、アルバムやクリアファイルにまとめるだけでも、十分に素敵な記録になります。
おうち作品展に、正解のやり方はありません。飾るのは数点だけでも、会期が一日だけでも大丈夫です。忙しい毎日のなかで、子どもの作品をあらためて家族で眺める時間は、きっと親にとっても、ほっとひと息つける時間になるはずです。この秋、わが家だけの小さな展覧会を、親子で楽しんでみてくださいね。
